2015.9.23-25 Todra@Maison D’hote La Fleur
イスラムにはイード・イル=アドハーという大事なお祭りがある。旧約聖書にあるイブラヒムが息子イサクを神に捧げようとしたところ、深い信仰心を神に認められ、代わりに羊を捧げるようお告げを受けるという話に由来したお祭りらしい。レストランでは、メッカで大勢の人が巡礼をしている映像が流れてた。
この犠牲祭は、日本のお正月休みみたいなもので、みんな実家に帰るそう。おかげで犠牲祭前後のバスは満員御礼。24、25日は両日バスも動かなかった。というわけで、短期で一緒に旅をしていた従姉妹とはここで別れ、私達はトドラで犠牲祭を過ごすことにした。
前日から街中ではたくさんの子羊が売られ運ばれる様子が見られた。お祭り当日、朝はみんな正装してモスクにお祈りに行くらしい。帰宅してすぐ、各家庭では羊を吊るして解体が始まる。
宿の人に教えてもらって、ご近所へ様子を眺める見に行った。思ってたより早く始まっていたようで、既に皮をはがれて肉と化した羊が吊るされていた。(大事な宗教行事ということで写真は撮影していません。)正直きっとグロいだろうなと思っていたのだけど、なんといおうか綺麗なものだった。今日はセレブレーションだからと、行く先々でお茶に誘われる。
最後の最後で、一頭生きている状態から最期までを見させてもらった。羊をしめて解体するのは男性の仕事らしい。なるほど、その工程はなかなかの力仕事だった。どの家でも成人の男性達が実に慣れた手つきで仕事を進めていく。まだ歩きだして間もない小さな子供も、その様子を眺めている。男の子達は毎年こうして大人の仕事を見ながら学んでいくのだろう。これがここでは普通のことなのだ。
そして、私達が普段食べている牛や鳥や豚もこうしてどこかで誰かがこの仕事をしてくれているのだよなということを思った。ありがたい。
ひとしきり各家庭で羊の解体が終わった頃、宿では解体したばかりの羊の串焼きのお裾分けをいただいた。くさみは少なく、美味しかった。
食べ物をありがたく頂くということはもちろんわかってはいたつもりだけど、この時ほど命に感謝して有り難く頂くということの意味を深く感じながら食べたことはなかった。
一連の仕事を見ていて、やはり目をそむけたくなる場面はあったし、人によってはこれをきっかけに肉を食べられなくなるとい人もいると思う。だから、みんながみんな見ればいいわけではないし、じゃあ自分でやってみろと言われたらやはりできないのだけれど、自分達が他の命をいただいて生きているのだということや誰かがそれをやってくれているから食べられているのだということには深く感謝したい。
犠牲祭の翌日もバスは動かなかったので、宿のみんなでタクシーをチャーターし、美しいと言われるイミルシルの湖を見にでかけた。
残念ながら曇り空だったのだけれど、女性の湖を見た後、奥にある男性の湖に着いたところで雲が少し晴れ光が射し込んだ。すると、なんとも美しい緑から青のグラデーション!これが夏場だったら是非泳ぎたい!と思うほどだった。
帰り道。前日までに降った雨の影響で渓谷の道が2~3ヵ所分断されてしまった。人々は急にできた川を前に立ち往生。
しばらく待った後に勇敢な?!地元タクシーが横断に成功し後に続く私達。2つめの分断箇所では、運転手さんが水の深さや道路の状態を確かめて果敢にGO!見事渡りきったのだけど、後に続いた2台目のタクシーは川の真ん中でスタック。牽引したり石をかませて車を持ち上げたりしながらなんとか救出!
地元の人たちにとってはよくあることのようだったけど、期せずしてなんともアドベンチャーに溢れた一日となった。それにしても、冷静沈着かつ勇敢なタクシードライバーのお兄さんは、かっこよかった!!
9ヶ月旅をしてなお、世界ではいろんなことが日常として起こるもんだと実感したのでした。
Hanae(^ ^)
About The Author
Hanae
東京生まれ東京育ち。大学卒業後、英語を話せるようになりたくてアメリカに留学。帰国後、人の働くやキャリアに関する企画の仕事に携わること約10年。働くって、生きるってを自然と考える日々。どうしても鹿児島でお店をやりたい!旦那さんと共に暮らすため夫婦そろって退職を決めたのを機に、このタイミングしかないとずっと夢だった世界一周の旅に出ることを決意。いろんなことを知るのが好き。なんでかなーって考えるのが好き。
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