遠き昔のワイナリー② The Winery in Early Times no.2 / La Bodega en Los Primeros Tiempos no.2

2015年4月17日。朝まだ暗いうちにワイナリーの仕事は始まる。昨日あんなに飲んだのに、全然酒が残ってないと感じる。

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まずはワインの状態をチェック。発酵が進みすぎてないかとか止まっていないかを見る。酵母が働くとワインの温度は上がり、発酵が進むとワインの密度は下がる。 ここでは発酵を、ぶどうにもともとついてくる自然酵母のみに頼っているので、それぞれのタンクで進捗に違いが出てくる。

人間に出来るのはそれぞれのタンクで何が起こっているのかを把握すること。 そして発酵が速いものは少し冷やしてあげるとか、発酵が弱いものはひなたに出してあげるとか、かき混ぜてあげるとか。とにかく出来るだけ手を加えることなく見守る。そのぶどうが持つ特徴を素直に引き出してあげるために。

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作業のあいまに見るぶどう畑はとてもきれいだ。ここは全てルドルフの畑。有機栽培で育てたぶどうたちだ。チリにはワインの生育を邪魔する害虫がいない、なので農薬を使う必要がないと言われている。ちょうど収穫期を迎えたぶどうはとても甘い。ちなみにワイン用のぶどうは生食用のぶどうよりも断然甘い。皮が厚く、種が大きいので食べづらいが皮ごと種ごと食べるとほんのり渋みや苦みが感じられてうまい。

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ルドルフはこのワイナリーのボスで、ルイは彼の醸造施設を一緒に使わせてもらっている。ルドルフはいつも元気で、いつも大きな高い声を張り上げている。彼にはかわいい10歳の娘がいて、ワイナリーの2階にある洗濯機を僕らに快く貸してくれる。

今日も10時前にパンとワイン、そして12時過ぎからはワインとランチ。 アンヘリカが作るミートソースパスタが美味しすぎてお代わりしてしまい、昼からの仕事がきつくなってしまった。

夕方仕事が終わってからぶどう畑の中を歩いて帰る。犬たちが後ろからついてくる。シュンが飼っている犬、名前は「X-MEN」だけが家までついてくるが、あとの犬たちは途中でちゃんとワイナリーに帰っていく。

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金曜日の夜、アウロラは週末留守にするので僕らとシュンは3人でトレスエスキーナまで歩いて買い出しに行く。小さな商店で鶏肉と野菜を買って、鳥鍋ゆずこしょう風味。アボカドと温泉卵でどんぶり。色んなワインを飲み比べながらこれまでのこと、これからのこと話して早めに就寝。5ヶ月ぶりの肉体労働で僕らの筋肉は悲鳴をあげはじめている。

遠き昔のワイナリー、つづきます。

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