遠き昔のワイナリー① The Winery in Early Times no.1 / La Bodega en Los Primeros Tiempos no.1

2015年4月16日。雨が降り続けるチリの街プエルトモンから夜行バスで北上する。目指す街はチジャン Chillan、サンティアゴの南にある街だ。

朝8時にチジャンのバスターミナルに到着。バスターミナル前までロベルトが車で迎えに来てくれている。 ロベルトはワイナリーで働きながら、海沿いにある自分の地元コンセプシオンでいつか自分のワインを作ろうと頑張っているんだと話してくれた。 車はチジャンから30キロ離れたブルネス Bulnesまで高速道路、そこから10キロ一般道路を走る。 ワイナリーはトレスエスキーナという村のそば、美しく背の高い並木に挟まれた農道を入っていったところにある。 オーガニックで育てられたぶどう畑の真ん中にある小さな建物だ。

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ワイナリーの前に車を停めて、中に入る。ぶどうが入ったタンクをかき混ぜているシュンがこっちを向いてにっこり笑う。会うのは本当にひさしぶりだ。シュンは僕が働いていたワイン居酒屋に来てたお客さん。スペインで醸造学校に行き、ワイナリーで収穫や醸造を勉強し、今年からチリにあるこのワイナリーに来ている。自然派ワインをチリで作っているルイ・アントワーヌ・リュイのもとで修行するためだ。

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ひと通りワイナリーを案内してもらい、仕事を教えてもらう。 朝一番でワインたちの温度と密度を計測し、発酵が順調に進んでいるかを確認する。 必要があれば、それぞれの樽やタンクのワインを混ぜてやる。 小さなタンクは手を入れて抱きつくように混ぜてやる。 中くらいのタンクは木でできた櫂でぐっと突くように混ぜてやる。 大きなタンクは電動のポンプを使い、下から液体を汲みあげて、上から注いで混ぜてやる。 それによって温度や密度やワインの中のさまざまな成分がタンクの中で均一化して、自然酵母が働きやすくなるということらしい。

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朝10時ごろ、みんなで集まって焼きたてのパンとワインの朝ごはん。食べながら飲みながら、それぞれのタンクの状態や今日やるべきことの確認をして、作業に戻る。

12時を過ぎたらそれぞれ区切りのいいところで仕事の手を止めて、みんなでワインを持って昼ごはんを食べに行く。行き先はアンヘリカの家だ。

アンヘリカはワイナリーのすぐそばに住んでいる主婦で元シェフ。チリの大統領にも料理を作ったことがある。 初日の料理はカスエラという煮込み料理。優しい味の澄んだスープで煮込んだ牛肉とチョリソーと野菜。自然な旨みがたっぷりでルイのワインともよく合う。

8人でワインを4本、1時間半くらいワイン飲んでごはん食べていろいろしゃべって元気をしっかりチャージしてワイナリーに戻る。

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午後はアウロラ(ルイの秘書)と一緒に倉庫の整理整頓。トランスパレットと呼んでる手動の油圧ジャッキを使って「リアル倉庫番」をやって、ぶどうのプレス機械をたっぷり水を浴びながら洗って初日は終了。

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その日はそれぞれシャワーを浴びてからスウェーデンから研修に来てたカップル(翌日帰る)と僕ら、シュンとアウロラの6人で自炊ディナー。 山盛りのチョリソーとパスタをつまみにワイン何本飲んだっけ?とにかく楽しい夜だった。

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ワインがどんどん空いていく。明日のことなんて考えることなく、飲んで、食べて、語り明かした。どのワインも優しい味がして、いつまでも飲んでいられるような気がした。

遠き昔のワイナリー、つづきます。