サハラ砂漠で過ごす夜。 The night in the Sahara. / La noche en la Sahara.
|砂漠と言えばサハラ砂漠。サハラとはアラビア語で砂漠そのものを指す言葉、サハラ砂漠は世界で2番目に大きな砂漠、とまあこんなことがWikipediaには書いてある。(ちなみに最大の砂漠は南極大陸らしい。どういうこと?)
そしてこの砂漠。エジプトだけじゃなくてスーダン、西サハラ、モーリタニア、アルジェリア、マリ共和国、ニジェール、チュニジア、リビア、チャドそしてモロッコと11ヶ国にもまたがるなんて知らなかった。だから僕はこの旅に出るまで「モロッコからサハラ砂漠に行ける」なんて思ってもみなかった。
フェズからメルズーガ行きの夜行バスに乗ってメルズーガちょっと手前のハシラビエッドという村で降りる。予約していたワイルダネスロッジから迎えに来てくれているはずのオマールさんがいないと思ったら、道の向かい側の毛布にくるまれた塊がごそごそと動きだし、中から眠そうな1人の若者が登場。「はい、おはようございます。ホテルはこっちです」と、しっかり日本語。いつから寝てたのか分からないけど、バスが着いてもまだ寝てるというのもすごい。
ただいま早朝6時前。砂漠ツアーの出発は夕方5時半。それまで宿でゆっくり休ませてもらう。シャワー浴びたり、眠ったり、洗濯したり。近くの商店で水やジュースを買ったり、お昼ご飯にタジンでオムレツを作ってもらったり、砂漠の民のパン焼きの様子を見せてもらったり。
出発前にはジュラバというモロッコの民族衣装をみんなで借りて(無料!)さてさて、準備万端。ガイドのおじさんがラクダの準備をして迎えて来てくれた。
座っているラクダにみんながまたがると、ラクダ使いのおじさんが前のラクダから順番に声をかける。ラクダは4段階くらいで立ち上がる。「ほっ、ほっ、ほっ、ほい」という感じ。ラクダの背はけっこう高い。思ってたよりもだいぶ高い。ラクダの背はけっこう揺れる。思ってたよりもだいぶ揺れる。なのでおしりが痛くなるし、ラクダ筋と勝手に呼んでいるラクダに乗る時にしか使わない筋肉が筋肉痛になる。
今日のツアーは日本人ばかりで5人。ラクダ使いのおじさんはラクダに乗らないので(ラクダ筋が痛いに違いない)僕らのキャラバンはぜんぶで5頭。ハシラビエッドの村から1時間半くらい砂漠を歩く。砂丘を登ったり下ったりしながら歩いて行くラクダたち。背中に乗せている僕たちの乗り心地とかは気にしない。だって、あごにひもをくくりつけられて引っ張られてるんだから。遅れるとものすごくあご引っ張られて痛いんだから。とにかく一生懸命先頭のラクダに着いていくだけ。おしりの痛さが限界に近づいたころにやっとテントに到着する。
僕らが降りたあと、ラクダは左前足のひざ部分をロープで縛られる。それだけで立てなくなって、逃げられなくなるらしい。なるほど。砂丘に登って夕日を見ている間、ラクダ使いのおじさんは甘いミントティーと夕食の鶏肉タジンの用意をしてくれていた。
モロッコでよく使われる「タジン」とは蓋が三角錐になった鍋のこと。土鍋タイプと金属タイプがある。砂漠では少ない水で調理が出来るというのが大切なので、鍋の中で蒸気がたっぷり循環するように工夫されている。鍋底にたまねぎを敷いて真ん中に鶏肉、回りに放射線状に野菜を並べていく。仕上げにパプリカパウダー、クミンパウダー、塩というシンプルな味付け。2時間弱かけてゆっくりと火を通す。僕らは熱くて甘いミントティーを飲んでから、寝転がって星を見上げながらゆっくりと待つ。
メロン登場の際、田中さん(関西の方です)が「デザートでデザート!」とひとこと。まいりました!
タジンは野菜たっぷり。とろっとろに煮込まれてて優しい味。お腹いっぱいになったらベッドの用意。天気もよくて風もなかったので砂漠の上に直接寝ることに。満天の星空を眺めながらまさかのスターベッド状態。星空ってなかなか上手に撮れないんだよなー。でもきれいだなーとか話しながら幸せな気持ちで眠りについた。
数時間後に激しい砂嵐で目を覚ますなんて、この時はまだ誰も知らなかったんだけど。