タンザン鉄道で地味に事故ったこと。 We had an accident on Tanzam railway. / Tuvimos un accidente en ferrocarril Tanzam.

ダルエスサラームのTAZARA (Tanzania Zambia Railway) 駅でニューカピリムポシ行きのファーストクラスチケットを買った。チケットはこちら。MRが男性、C2 C4 B13 が C2号車の C4ルームの B13のベッドですよという意味。REP TIMEは集合時間12時半ということ。JRの切符みたいな小ささのダンボール。これ、ちょいちょい確認されるので手元にキープ。金曜日出発の各停はひとり86500シリング。火曜日発は急行でもう少し高いらしい。週2便運行。予約は前週から。基本的に男女別なので夫婦やカップルで同じ部屋になりたい場合は4人グループを作ってから申し込むか、2人で4人分払えばいいらしい。

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ファーストクラスは寝台車。ニューカピリムポシまでは2泊3日で着く予定。ダルエスサラームの宿からタクシーで15000シリング。11時半に到着。ファーストクラスラウンジで案内を待つ。日本人は僕らとケニアに留学中のカズくんのみ。あとは欧米の方々とお金持ちそうなタンザニアの方々。13時をすこし過ぎて、案内放送があり乗客が一斉に動き始める。僕らも指定された客車に向かう。駅のホームを車やバイクが走っているという新鮮な風景。先頭車両に荷物を運んでいるらしい。このディーゼル機関車で牽引する。

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同室はアメリカ人のトーマスくんとタンザニア人のお父さんと息子。トーマスくんはニューカピリムポシまで一緒。タンザニアの親子は10時間ほどで着くタンザニアの街まで行く。14時前に電車が動き始める。驚いたことに線路状態がかなりデコボコらしくトランポリンみたいに電車が跳ねる。「おいおい、脱線するんじゃないの?」とみんなで冗談を飛ばす。

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綺麗とは言えない車内。たぶん水シャワーを浴びることが出来る。トイレもある。バーと食堂もある。ごはんは朝昼晩と席までオーダーを取りに来て運んで来てくれるし、音楽がガンガン鳴ってる食堂車で食べることも出来る。タンザニア側だと1食4500シリング、ザンビア側だと15クワチャ。ザンビアのほうがちょっと高いかな。出発してから2時間、16時過ぎに最初のオーダー。これがランチ。このときだけアルミの容器に入った弁当形式で提供された。チキンと野菜(ゆで白菜みたいなやつ。大好き)とライスがお茶碗2つ分くらい。席にあるテーブルじゃなくてバーに持っていって食べた。カズくんは同室のタンザニア人ナイスガイと彼のママと仲良くなって一緒にビールを飲んでた。ご飯食べ終わってから僕だけカズくんのテーブルに同席。ママはなぜか日本語で「酔っぱらっちゃった」を連発。ナイスガイはビニール袋に入った強い酒を飲んでからしょっちゅうトイレに行って帰ってこない。外はまんまるな満月。停車した駅でいろいろ売りにくる人たち。音楽がガンガン鳴り響く食堂車でカズくんとよもやま話をしながら最初の夜は更けていった。

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寝台車の揺れというか跳ねで何度か起こされながらも朝まで熟睡。朝食を食べて本を読む。僕とトーマスくん以外の乗客はちょこちょこ入れ替わる。深夜に乗って来た親子連れ。最初は人見知り&暗闇で泣いてた男の子を、妹夫婦がことづけてくれた「やわらかするめ」で手なずけて仲良くなった。現地の乗客は英語を話す人も話さない人もいるが、ファーストクラスを使っている人たちはお金を持っている人という共通点がある。セカンド、サードクラスはもちろん安いけど長距離移動にも関わらずぎゅうぎゅう詰め、座席はぼろぼろのボックスシート。そこに荷物もガンガン詰め込んでいる。そして天井からは、つり革が…。ハードすぎる。

13時過ぎに、チキンとビーフどっちにする?ライスとチップスどっちにする?と昼食のオーダーを取りに来て、チップスは時間がかかるらしく結果強制ライスという昼食が到着。ゆっくりと景色が流れていくのを眺めながらランチタイム。14時過ぎ、ゆっくりとスピードを落としたと思ったら大きな揺れがひとつ。ガタン。停車。「また駅かな?」と思って本を読んでいたら、少し間が空いてキャーキャーいう声が聞こえてくる。窓の外を見ると前の方の車両から人がどんどん外に出ている。あまりに人が出てくるので様子を見に行くと車両が2つ斜めに倒れていた。

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えーと。これは事故ですか? はい、これは事故です。

線路をスイッチする場所でひとつの車両の前輪と後輪が別の線路に入ってしまって詰まってしまい、すぐ後ろの2つの車両がゆっくりと横倒しになったらしい。けが人がなくて良かったけど線路も曲がり、枕木も壊れ、車両も壊れてどうにもならない。乗客はあきらめがものすごく早く、どんどん荷物を運び出し線路を歩きはじめている。僕らはとりあえず待機し、スタッフが来るのを待つ。先頭のディーゼル機関車、2両目の貨物車、3両目の客車は無事。その後ろ3両の客車が破損。その後ろから食堂車3両、ファーストクラス3両が続いている。15時過ぎにスタッフが説明に来る。とりあえず無事な先頭の3両だけで近くの駅まで走るから荷物を持って移ってくれという。ガラガラの客車に僕らは荷物を持って移る。先頭車両の向こうにセカンド、サードに乗っていた人たちが大量に待っている。「あの人たちはどうするんだろう」

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僕らを乗せて動き出す客車は彼らの前で再停車した。その瞬間、僕の席の窓から女の人が一人乗り込む。続いて子供たちが!窓の外を見ると下からお母さんたちがどんどん子供や荷物を窓から投げ入れる。僕らはどんどん受け止めて、先に入ったお母さんにそれを渡す。カズくんは自分のではない荷物を自分の膝の上に抱え、トーマスくんは男の子を1人自分の隣に座らせたまま。たった1両の客車。全員が乗れるはずも無くすぐに満員状態になり出発。残された人たちはどうするんだろう。運良く国境にほど近いMbeyaという駅の近くで事故っていたので1時間ほどで到着。せっかくなので窓から出てみるカズくん。マラウイに行くことにしたカズくんとはここでお別れ。また東京で会おうね!

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20時、だだっ広い駅の待合室は到着を待っていた人たちでごった返していた。スタッフが僕らをファーストクラスラウンジに案内してくれた。ソファーとトイレがあるだけで助かる。みんなで手分けしてみんなの荷物を運び入れ、お菓子を分け合い、ひとやすみ。ザンビア側から来るはずの対抗列車を待ち、それをこの駅で折り返すという作戦を言い渡された僕らは気長に到着を待っていた。24時ごろザンビア側からの列車が到着。事故を知らされた乗客が降りる。1時過ぎに僕らのチケットを確認したスタッフが僕らを客車まで案内してくれる。電気はなぜかつかずヘッドライトが役に立った。列車の進行方向を変えるために機関車や車両を付け替えてるんだろうけどいちいち荒い。ガンガンぶつけてガンガン揺れる。こんなことしてたらすぐ壊れますよ、うん。いつ動くかわからない中で疲れて眠りにつく。眠りの中でゆっくりと寝台車が動き始めたのを感じてやっと安心して深く眠ったのだった。

つづく。