いちばん年上のともだち The oldest friend / El amigo más antiguo

アルゼンチンのウシュアイア。粉雪が舞う世界最南端の街にあるホステルのドミトリー。そこで僕らは出会った。彼の名前はジャン=ポール。フランスからはるばる南米を縦断しにやってきたおじいちゃん。ウシュアイアは彼のゴール地点だった。ウシュアイア最後の日の朝「もしプロヴァンスに来るなら連絡をくれ」とメールアドレスを教えてくれた。4月5日のことだ。あれから2ヶ月。僕らはプロヴァンスのあたたかい日射しの中、何とも言えない気持ちいい時間を一緒に過ごしている。

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ジャン=ポールはエクサンプロヴァンスの郊外にある一軒家で暮らしている。着いた初日は庭のバーベキューグリルでハーブでマリネした鴨肉のブロシェットを焼いてくれた。前菜は旬のメロン。デザートはイチゴとパッションフルーツのシャーベット。涼しい風が庭を抜けていく。プリオラートのワイナリーでお土産にもらった赤ワインと鴨がものすごくいい相性。すいすい胃袋に入っていく。食後は夜のエクサンプロヴァンスを散歩。この街には100個の噴水がある、と散歩しながら「ほらここも噴水」とか「あそこも噴水」とか言いながらテクテク。若者たちで賑わう街をすり抜けて古都の雰囲気を楽しむ。

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2日目は朝から雨。年間10日くらいしか雨が降らないと言われるエクサンプロヴァンス。これってラッキーなのか?とりあえず世界遺産ポンデュガールに向けて出発。雲行きがいきなり妖しくなり、豪雨の中を走る。しかしポンデュガールのそばまで来ると青空が!車を止めて、歩いてポンデュガールへ向かう。何度か雨は降って来たけど、そのぶん気温が下がって歩いていても楽だったからやっぱりラッキーだった。売店でパスタを買って「これ意外と悪くないね」と言いながら食べる。食べ終わってポンデュガール博物館を見学。けっこう見どころがいっぱいあって結局1日がかりの観光になった。

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3日目の朝はマルシェへ。考えてみたらフランスで初めてのマルシェ。最初は花のマルシェ、その後大きな食材のマルシェ。旬の野菜や果物、バゲットや田舎パン、魚に肉にソーセージ。たっぷり買物して帰る。ランチにはバーベキューグリルで仔羊を焼いてくれ、その後セザンヌのアトリエと古い教会へ。そして車で郊外にあるサンヴィクトワール山までドライブ。ダムの上からセザンヌの描いた風景を間近でみることが出来た。夜はバーベキューグリルで大量のイワシを焼いてくれ、翌朝出発する僕たちのためにオーブンでホロホロ鳥を焼いてくれたジャン=ポール。

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僕らは彼の子供たちと同年代。彼は僕らの両親と同年代。 僕らは一緒に家族の話や恋の話をしながらお茶を飲む。 料理や食材の話をしながらマルシェで買物をする。 「白髭」の意味を説明して、手ぬぐいをプレゼントする。 ガールフレンドを呼んでワインを飲みながら一緒に食事をする。 偶然の出会いだったけどジャン=ポールと友達になれて、一緒に時間を過ごすことが出来た。 自分にとって、旅をしていて絶景を見るよりも幸せを感じる時間はきっとこういう時間なんだと思う。